性別違和に対する当事者の意識調査アンケート結果|2024年7月実施

お役立ち情報
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性別違和のある当事者に対し、2024年7月に実施したアンケート調査の結果データを公開します。トランスジェンダーやXジェンダー、ノンバイナリーの方々は、性別違和に対してどのような認識を持っているのか、性別変更や男女別スペースなど各種制度に対してどのような見解なのか。みなさまよりいただいたアンケートの回答結果をまとめました。

ここでの当事者は、トランスジェンダーやXジェンダー、ノンバイナリーなど生まれた身体の性別に違和や疑問があると感じる方を指します。性別違和のないレズビアンやゲイ、バイセクシャルなどの方などシスジェンダーの方は、ここでは非当事者としています

 

アンケートの目的と背景、概要

実施した目的と背景

生まれた時に割り当てられた性別に対し、疑問を感じている方が一定数います。疑問の感じかたは人それぞれです。

疑問を感じている当事者は何に悩んでいるのでしょう。何に困っているのでしょう。いっぽう、疑問を感じていない非当事者の方は、性別に違和がある当事者が置かれている状況をどの程度ご存知でしょうか。

実情を探るべく、当事者と非当事者に対してアンケートを実施しました。世の中に理解が広がり、当事者が少しでも生きやすい世の中になることを願い、アンケート結果を公開します。

この記事では、当事者に対するアンケートを公開します。非当事者に対するアンケートは以下記事でご確認ください。

性別違和に対する非当事者の意識調査アンケート結果|2024年7月実施
性別違和のない非当事者に対し、2024年7月に実施したアンケート調査の結果データを公開します。非当事者の方々は、トランスジェンダーなど性別違和のある当事者に対する意識や、性別変更など各種制度に対する認識についてなど、回答結果をまとめました。

当事者の中にはこのアンケートを見て勇気が出る方もいれば、残念に感じる方もいると思われます。世の中には多種多様な人がいて考え方も千差万別なので、いい意見もあれば嫌な意見もあるはずです。

一つひとつの意見や言葉尻に一喜一憂するのではなく、より自分たちが生きやすく、暮らしやすくなるために現状を冷静に把握し、そのうえでどのように立ち振る舞い生活していくか、アクションをしていくかを意識するきっかけの一つと捉えていただけますと幸いです。

アンケート概要

実施時期

2024年7月

実施場所

チ・カ・ホDEプライド来場者
(2024年7月7日、札幌市)
はこだてトランス交流会参加者
(2024年7月14日、函館市)

実施方法

対面でのQRコード読み取り
希望者へのメール送付
※Googleフォームを利用

有効回答

22名

イタズラの回答や悪意による妨害の懸念より、母数はかなり減ると想定されるものの、あえてwebやSNSなどでの公開受付はせず、極力対面でGoogleフォームのリンクを伝えて匿名回答で調査しました。アンチ層の声がほぼないなど、多少バイアスがかかっていると推定されます。各種大規模な調査データと比較するとサンプル数も決して多くはありません。ご了承ください。

実施主体

アンケートの回答者属性

アンケートに回答いただいた方々のセクシャリティと年代についてお尋ねしました。

Q1|回答者のセクシャリティ(性自認)

Q1.(可能なら)ご自身の性自認に関するセクシャリティを教えてください。

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アンケート回答者(当事者)の性自認について伺いました。半数少々がトランスジェンダー、Xジェンダーとノンバイナリーが1/4前後という結果でした。

電通ダイバーシティラボの調査では、トランスジェンダーの人口と、Xジェンダー+ノンバイナリーの人口は概ね同じくらいというデータが出ているので、今回のアンケート調査は母数が決して多くないのではありますが、概ね世の中の人口比に近いのではないかと思われます。

Q2|回答者のセクシャリティ(性自認以外)

Q2.(可能なら)ご自身の「性自認以外」に関するセクシャリティを教えてください。自身の年代を教えてください

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アンケート回答者(当事者)の性自認以外のセクシャリティについて伺いました。比較的さまざまなセクシャリティに分かれている結果となりました。

 

性別に違和感がある方の性自認と性的指向

ここでセクシャリティについて別々に設問をしている意味や理由がよくわからないという方に対して、設問を分けている意図を説明します。

例えば、トランスジェンダー女性(生まれた時の性別は男性と割り当てられたものの、自分自身を女性と認識をしている人)は、性自認は女性と言えます。
ただ、性的指向(恋愛対象や性的対象)となる性別については、男性の方もいれば女性の方もいますし、男女双方という方や性別関係なく人として好きになるという方、恋愛や性愛の欲求や感情がない、という方もいます。

トランスジェンダー女性の性的指向はさまざまにて、いくつか例示すると以下のようになります。

性的指向が男性
「トランスジェンダー女性でストレート」
性的指向が女性
「トランスジェンダー女性でレズビアン」
相手の性別に関係なく人を愛せる
「トランスジェンダー女性でパンセクシャル」
他社に性的欲求を抱かない
「トランスジェンダー女性でアセクシャル」

このような背景があるため、単に「あなたのセクシャリティは何ですか」と問うのではなく、性自認と性自認以外(主に性的指向を想定)をお尋ねしています。
特に、ここでのアンケート依頼者は生まれた時に割り当てられた性別に対して違和や疑問がある方々にて、性自認と性的指向を混同した問いかけは望ましくないと判断をしました。

Q3|回答者(非当事者)の年代

Q2.(可能なら)ご自身の年代を教えてください

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30代と40代が多いという結果でした。20代以下や50代以上の方はもっといてもおかしくはないので、多少偏ってしまったと考えられます。

カミングアウト、手術・治療、性別変更の意向調査

自分自身のセクシャリティについて、カミングアウトをしているか否か、手術やホルモン治療などを望むか否かについて、当事者のみなさんに伺ってみました。

Q4|誰かにカミングアウトしていますか?

Q4.(可能なら)誰かにカミングアウトしていますか?該当するものを全て挙げてください。

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セクシャルマイノリティの知人や友人、オンライン上で顔を合わせることのない方に対してはカミングアウトをしたという方が多いとはいえ、それでも2/3くらいです。肉親には半数、職場や学校では1/3程度という結果でした。

ここでの調査結果は、カミングアウトをした人の割合はどの項目も恐らく高め(かなり高め!?)に出ていると推定されます。なぜなら、このアンケート自体が基本的には街中のイベント時や関係者の紹介による回答にて、街中に出るなど比較的アクティブな方や社会的なつながりを持っている方が回答いただいていると思われます。
当事者の中には、人が多い場に出ることに抵抗がある方が数多くいらっしゃいます。そのため、たとえば完全にオンラインでのみのアンケート調査であれば、カミングアウトをしていないという方の比率がもう少し高くなると思われます。

バイアスがいくらかかかっていると思われる状況でのアンケートでも、カミングアウトをしていない相手は数多くいます。カミングアウトをしていない理由は人それぞれの思いや置かれている状況により異なりますが、「言えない」「言いたくない」「何と言っていいのか分からず言いようがない」のいずれかではないかと思われます。

もっとも、カミングアウトは任意であり必須ではありません。本人の意向次第で、カミングアウトしたい方はすればよいし、したくない方はしなくてよいことです。

非当事者の方々は、当事者がカミングアウトをしていないと気づかない・わからないことが多いと思います。当然ながらセクシャリティを詮索をする必要は全くありませんが、身近に当事者がいるかもしれないという意識だけは常に持ち合わせていただけるとありがたいです

Q5|治療や手術の希望有無

Q5.ホルモン治療やオペはされていますか?する予定はありますか?

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アンケート結果で明らかなように、性別に違和があるからといって、全員がホルモン治療や性別適合手術を受けたいと思っているわけではありません。

治療や手術を望む人と望まない人がいる理由

人によって違和感の度合いが異なります。身体も戸籍も変えなくては苦しくて仕方がないという方もいれば、違和はあるけどそこまではしたくないという方、したくてもできないという方もいます。

「したくない」「したくてもできない」という事情はさまざまなケースがあります。治療や手術には100万円単位の費用がかかるため経済的に厳しいという方や、ホルモン投与や手術をすること自体が健康上の問題から難しいという方、手術を恐怖に感じる方、仕事や家庭環境などの都合で変えることが困難という方などが主なケースです。

医療リソース不足の問題

日本国内では、性別違和に関する医療リソースが圧倒的に不足しています。特に、性別違和の精神的な診断からホルモン治療や性別適合手術まで一気通貫で対応している病院は両手で数えられる程度しかないと言われています。
ホルモン治療は医療保険の適用外で自費診療にて医療費が高額になります。適切な医療を受けたくても受けることすら大変というのが現状です。

ちなみに、北海道で唯一、性別違和に関して一気通貫で対応している病院「札幌医科大学附属病院」では、3ヶ月に1回実施される抽選に当たらないと初診を受けられません。抽選で当たらないと病院に通うことすらできないという状況なのです。診療対応できる医師の数より受診希望者のほうが圧倒的に多いための措置であり、それだけ医療リソースが不足しているということの証です。

Q6|法律上の性別変更ができる特例法について

Q6.性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(通称:特例法)は、今現状の規定が見直される可能性があります。法律上の性別変更に関する規定はどうあるべきだと思いますか?

フリー記述で答えていただきました。かなりしっかりと書いていただいた方も多く、この場を借りて感謝申し上げます。

特例法の5つの要件

法律上の性別を変更するためには、特例法で以下の5つの要件を全て満たす必要があると定められています。

・生殖能力がないこと(=不妊手術を受けるなどしていること)
・外性器の見た目が、変更を望む性別の外性器に似た形をしていること
・18歳以上であること
・今現在、結婚をしていないこと
・未成年(18歳未満)の子どもがいないこと

ただし、昨今は一部が死文化した上、見直しを求める意見が出てきています。以下で簡単に解説しています。

性別違和に対する非当事者の意識調査アンケート結果|2024年7月実施
性別違和のない非当事者に対し、2024年7月に実施したアンケート調査の結果データを公開します。非当事者の方々は、トランスジェンダーなど性別違和のある当事者に対する意識や、性別変更など各種制度に対する認識についてなど、回答結果をまとめました。

いただいたアンケート全文

大きく5つの見解に整理して紹介します。5要件に関する賛否をお答えいただいた方と、5要件とは限らず性別変更の取り決めに関する見解をいただた方など、さまざまな意見があります。お答えいただいた方の意図は少々異なるなど詳細差異があるかと思われますが、便宜上分けさせていただきました。ご了承ください。

1.特例法の今の規定を維持、もしくは概ね維持すべき

基本は現状のままでいいと思います。 自分で責任が取れる年齢であること。
性別違和があるのに結婚を継続している・性別変更を考えている時期なのに子供がいるはちょっと違和感があります。考えが安易に思ってしまいます。
性別適合手術を受けなくても性別を変更できてしまうと、誰でも簡単に変えてしまう気がします。例えば見た目体付きが女性なのに男性と言われても納得いかないかもしれません。生殖腺がある状態で性別を変え、もしも異性との間に子供ができたら等考えると、訳がわからない世の中になると思いました。
どうしても病気や体質的に性別変更できない理由がある等でなければ法律は現状維持でいいと思いました。

2.特例法の要件は不要だが、別途規定や基準は必要

医師の診断のみでいいかと思います。ただファッション的な感覚や性的・地位的利得を求めての不可逆的な性別移行を思い止めるために診断は慎重を期して貰いたいと思います。

子なし要件も非婚要件も不妊要件も不要と考えます。トランスジェンダーとして生まれて望む性で生きたくても実子を諦めなくていい世の中になってほしいです。
外観要件は戸籍変更自体には不要になってほしいです。それに伴い生じうる社会的な問題には別の法律で対応してほしいです。
年齢要件は把握しきれていないのですが、あまり幼いうちからトランスジェンダーと診断するのは難しいのではないかという思いがあります。

子なし要件→なぜあるのか意味不明、いらない
非婚要件→いらない、早く同性婚になればよい
年齢要件→18歳でなくてもっと若くていい(年齢の条件は何かしらあったほうがいいとは思う)
不妊要件→いらない
外観要件→任意にすべき
手術を強要することは不要だが、精神科医の判定など何かしらの要件は必要だと思う(思い違いとかで性別変えてしまう人が増えそうだから…)

3.特例法の5要件は撤廃すべき(一部、もしくは全て)

要件すべてを撤廃し、戸籍制度も廃止してほしい。複数回の変更や、性別を登録しないことを可能にしてほしい

すべて不要。

不妊要件は戸籍変更に不要。トランス男女の生殖機能を奪う事に人権蹂躙を感じているので。

またまた脱線ですいません。東大王やQさまなどのクイズ番組でなんで出身高校や大学が必要なのか?与えられた問題をクリアできるか否かだけだと思うんで。lgbtqも立派な一般人で唯一無二の存在(カタイ表現ですね)だから先の要件は自分は全く必要なしで意味ないと思います。

4.性別変更に関する何かしらの条件は必要(特例法の是非は不明)

本人の「心」を優先するのが一番とは思いますが、そうすると、当事者である「フリ」をして非道徳的な行動に出る人間も、現れてしまうと思います。なので、性別の変更を望むのなら、なりたい性別の身体になるよう、治療は必要なのかな、と思います。すこし、不本意ではありますが。

男性の体の下の機能に関してはかなりナイーブな問題と考えます。我々がそのままで生きやすくありたいと願うように、女性の体・女性の心を持つ人が、男性にしか見えない人が銭湯などに現れたときに脅威という生きづらさを感じると思うからです。
自然に一致した性で生まれた人と全く同じというわけには行かないのは、社会を営むにあたって仕方ない部分もあるのではないか、と。その辺りを解決できる条件は、私にはまだ思いつきません。

当事者になって分かったのですがセクシャリティが揺らぐこともあるので、 ひと時の感情の盛り上がりだけでその後の人生を不可逆的なものにしてしまうと思います。 慎重な診断とICのもとで行われるべきではないかと考えます。

自身の性別で苦しむ人が居るのなら、戸籍の性別変更はあるべきだと思います。同性婚の問題もそれで緩和すればいいなと思っています。

5.その他

すべてにおいて当事者に寄り添った法律であるべき

本気で悩む人しか真剣に議論したり適応されないはずなので、当事者の議員を踏まえて議論すべき。外野が意見と想像で組み立てた法律が、おかしいのは当たり前では。 先進国で戸籍があるのは日本だけなので、そもそも論ではありますが。

そもそもそれぞれの性別を決めなくていいと思う

ケースバイケース

手術なしで性別変更

アンケートをふまえた特例法の今と今後

アンケートでは、特例法について当事者の見解や今後のあり方については多種多様な声がありました。現行のままでよいという方から、人権侵害と言われている項目の見直しや改善を望む方、一部もしくは全てを撤廃してほしいという方など、比較的意見の相違は大きい印象です。

特例法は紆余曲折を経て2003年に制定されましたが、制定されてから20年以上経た2024年現在、法律の規定と実態や実情の乖離が表面化してきています。手術を強要することは違憲という最高裁での判決も出ているため、今後何かしらの制度変更が議論されていくものと思われます。

法律的な性別の変更に関する取り決めはどうあるべきかは、当事者の間でも意見の相違がかなりあると思われます。変えるにしても変えないにしても、さまざまな当事者の実態に即した内容で運用されることが理想でしょう。少なくとも、法整備の場において当事者が不在の密室や一部有力者や権力者だけの間で取り決めや決定などが行われることがないことを願います。

日常生活での困難な場面やさまざまな課題について

Q7|トイレや風呂はどのような施設が望ましいか

Q7.当事者が利用しやすい公共トイレや公衆浴場はどんな施設が望ましいと思いますか?

ジェンダーフリートイレや誰でもトイレ、貸切風呂の普及を望む声が数多く寄せられました。

身障者用のトイレ・バリアフリートイレはだいぶ普及しているものの、そこでしか用を足すことができない方(車椅子利用者やオスメイト利用者など)がいる中で自身が利用するのは躊躇するという声は当事者から数多く聞きますし、今回のアンケートでもそのような記載もありました。

厚生労働省の通達では、トイレ利用に関しては各施設の事業者の判断・決定次第で、公衆浴場については性自認に関わらず身体的な特徴次第としています。
今回のアンケートでは、浴場利用に関しては、身体的特徴に基づき男女別に分かれて入浴するという認識の方がほとんどで、それが故に貸切風呂の普及を希望するという主旨の記述が複数ありました。トイレ利用に関しては、多くの方がジェンダーフリートイレの普及を望みつつ、防犯や犯罪抑止の観点から慎重な対応が現実的という意見もありした。

いただいたアンケート全文

さまざまな意見をいただきました。大きく以下4つに分けて紹介します。他の項目にも当てはまる記述も多々ありますが、ここでは便宜上4つにしています。ご了承ください。

1.ジェンダーフリートイレや貸切・個室の風呂の普及

個室の浴場を増やしてほしい。オールジェンダーのトイレを増やしてほしい

誰でもトイレを多くするのとセキュリティを高くして欲しい。男性トイレの入り口入った所に誰でもトイレあるのは入りにくい。

トイレについては多目的トイレを増やす事と、多目的トイレは誰が使っても良いという認識をもっと広めるべきだと思います。(ただしマナーやルールを守る事と、多目的トイレしか使えない人たちも居るということ、そういう人が居たら出来るだけ優先してあげてと伝えて)

私はトイレは共用トイレを設置。銭湯は体の外観的性に合わせるというのが今の答えです。ノンバイナリーですからそう思うことができるのかもしれませんが。

トイレはみんなのトイレが増えてくれれば問題ないかと思います。浴場は裸になる以上、裸になるためのドレスコード=外見をその性に合わせる形にしないとハレーションが起こると思います。

トイレ→世の中に誰でもトイレをもっと増やすべき。身障者用トイレは車椅子の方などそこしか使えない方がいる中で自分が使うのは気が引ける。
風呂→貸切風呂がもっと増えて安価で使えるようになることを心の底から願う‥

多目的トイレを増やすとか

トイレは多目的トイレの設置広がりで十分。浴場は身体外観の自己判断で良い。弁えられない人間はトランス関係なく裁かれて当然。

貸切風呂?家族風呂?のような施設が増えたら嬉しいです。またはMTFやFTM専用風呂もあったらいいと思います。長年温泉は行けてないので行きたいです。

2.入浴時間の調整や水着着用、女性専用などルール面での工夫

誰でも使えるトイレがあること、水着着用で入浴できることを求める

男女で分けず「公衆(だれでも)トイレ」にするべきだと思います。ただ、性犯罪も懸念されるため気になる方用に、女性専用車両のような女性専用トイレがあるといいと思います。

先ず、断言できる事はlgbtqの人達は決して公衆のトイレや浴場に故意や間違えて入ることはないと思います。それは当事者は人格、品格を備えていると思います。
トイレに関しては、誰でもトイレを今のところ使用するしかないかなと思いますし、浴場は結構ハ一ドルが高いと見てます。浴場サイドの対応次第だと思いますが、当事者専用の曜日や時間帯を設けてもらうことかな。よく曜日によっては男湯と女湯のスペースを入れ替えるところもありますね。

トイレは全個室が理想。多目的トイレは身障者ありきのピクトグラムにせず全ての人を連想させるものとするといいかなと。浴場はトランスに配慮した時間帯の設定、診断書の提出と湯着の着用を条件とした場合での性自認に合わせた入浴、診断書提出で露天風呂付き客室の割引。

3.トイレも風呂も防犯や犯罪抑止のため身体的特徴で男女を分ける

性別問わず使える個室の公衆浴場(家族風呂みたいな)が増えてくれればと思います。トイレは「多目的トイレ」だと性別違和だけでは利用しにくいので、ジェンダーフリーのトイレがあればいいと思うのですが、性犯罪の温床にもなりそうなので身体外観に応じるのが一番犯罪抑止になるように思います。

本人の「心」を優先するのが一番とは思いますが、人は外観で人を判断するので、身体の性別にあわせたトイレや浴場を使うのが、結局いちばん平和なのかな…と思います。

4.その他

車椅子トイレは必要な人がいるからジェンダーフリーのほうが望ましいと思います

厚生労働省の通知は「技術的な助言」とされており、強制されるものではありません。最終的には施設管理者が決定するものです。一方、北海道では「トランスジェンダーを排除するものではない」「従前の取り扱いから変更するものではない」と補足しています。私としては、トランスジェンダーについて正しい情報に基づく理解が広まることが必要と考えています。

トイレはお金かかると思うんですが男女別はそのままでも小便器をやめて 個室にしたらもっと使いやすくなるかなーと。

男の女関係なく入れるトイレや浴場

トランス用の施設を同サイズで作る

公衆浴場の利用に関する厚生労働省の通達

昨今、「心は女といえば男性でも女性風呂に入れる」などという誤った認識やデマが流布されている状況です。公衆浴場の利用に関しては、厚生労働省が各都道府県などに出した通知で、「公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて」というものがあります。ここの一部を抜粋します。

ーー「おおむね7歳以上の男女を混浴させないこと」などと定めています。 これらの要領でいう男女とは、風紀の観点から混浴禁止を定めている趣旨から、身体的な特徴をもって判断するものであり、浴場業及び旅館業の営業者は、例えば、体は男性、心は女性の者が女湯に入らないようにする必要があるーー

お風呂に関しては、あくまで裸になった時の身体の形状次第なので、手術などで外性器の形状が変わっていない限り、「自認は女性」と言う男性が女性風呂に入ることはできません。この点は従来どおりで今後も同様です。

Q8|日常生活での困難や課題(トイレとお風呂以外)

トイレやお風呂の利用問題以外に、日常生活の中でさまざまな困難や課題があると思います。ご自身の経験でどんなことがありますか?

性別に違和のある方々の課題として世間に注目されるのは、残念ながらトイレとお風呂の問題ばかりです。確かにトイレの利用や公衆浴場の利用に関してはナーバスなことにて注目されるのは当然ではあります。

ただ、性別違和の方々が課題に感じていることは、トイレやお風呂のこと以外にも多々あります。実際にどんなことがあるのか、みなさんに伺ってみました。

いただいたアンケート全文

多岐にわたる内容の声をいただきました。以下大まかに6つに分けて紹介します。基本的には全文紹介をしていますが、一部の層を推測で決めつけて批判されているコメントについては不適切と判断し、勝手ながら割愛しました。ご記入いただいたご本人は納得いかないかもしれませんが、ご了承下さい。

1.買い物など日常生活

些細な会話で男子/女子を分ける、女子力という表現がある、息子/娘や夫/妻のような呼び分けがあるなど、男女で区分するのが一般的すぎます。身分証に性別の記載があるのも負担です。交通ICの券面の表側に肉体の性別が表記されたのはとても辛く感じました。

生活全般。自分の好きな格好ができない。異性装時に人前に出る、声を出すのも困難。食事でマスクを取ると髭が目立つのでお店で食べられない。ウィッグを自分で切るしかなく、切ってもらえる美容室はすごく高い。メイクやコスメの事を教えてもらいが人に聞くのは困難。服やアクセサリーを買うのも人目が気になる。隠れて異性装をしているので、使えるお金や時間、グッズを隠しておける場所などの制約がたくさんある。街を歩いてると、睨まれたり笑われたり大声で『気持ち悪い』など言われる。嫌なのに一方的に性的な要求をされることがある。

居酒屋などで「お客さん」ではなく「おねえさん」と言われる。 「女性にだけサービスだよ」と、アイスをもらうなどすると、変に断るのも角が立つので受け取ってしまいますが、やるせなくなりはします。

ヘアサロンで心の性別に寄せた髪型をオーダーしたときのリアクションが怖いです。 所属しているオンラインセミナーで、合宿があるのですが、男部屋に泊まるべきか?女部屋に泊まるべきか?運営さんや他の参加者さんを困惑させてしまうと思い、合宿に参加できません。

服屋やバッグ屋、帽子屋、アクセサリー屋
服や靴、肌着選びに少し困難さがあります。
2.企業の対応

就職について。トランスジェンダーの就職は著しく困難です。事業者の立場としては「うちはまだ早い」「うちの会社では理解が十分ではなく受け入れる体勢ができていない」「従業員に理解してもらえるかわからない」「利用者(認知症など)に理解を求めるのは難しい」などの意見があります。トランスジェンダーはリスクと捉えられ、事前に除外することを示唆する例が見受けられます(例えば、採用担当の方が見抜く方法を聞いてくるなど)。応募者に伝える義務はないため、当事者にとっては何故かどこを受けても不採用という状況が発生します。逆に、戸籍の性で受けるとすぐに採用されるという話も聞きます。

性別違和の通院や治療を受ける前に入っていた保険会社で保険の見直しで入り直そうとしたら、性別違和というだけで審査通らないから変更できないと言われた。

3.病院など医療の場

テストステロンの注射の薬がこの一年ほどずっと出荷調整になっており、安定して投与できない。代替の薬剤が高価。

入院など病院

性別、名前変更してからはなくなりましたが、病院でフルネームを呼ばれる時周囲の目が気になりました。→苗字だけで対応してもらいました。 健康診断で病院のスタッフに二度見されたり何度か本人確認される時なども気になりました。→番号札で呼ばれるのですが、番号札を信じて下さい。 電話で本人確認を何度もされたことがあります。いちいち説明しなければいけなかったことがあり嫌な思いでした。 →電話では免許書のような写真は見れないので仕方ないのでしょうか。

4.災害時など緊急時

災害が起きて断水した時
トイレは大丈夫だと思うんですが 自衛隊が設置してくれるお風呂は未治療のかたは使えないなと思ったことはあります。

パートナーからDVがあったときに使うシェルターが出生時の性別で区切られると、利用を戸惑ってしまう。ケースバイケースの配慮が必要かと。

5.周囲や世間の言動

家族や職場、友人など、比較的理解ある親しい人たちが差別的なデマやネットのヘイト発言をすなおに信じてしまうので、関係に距離を置いている。

SNS等について。特にトランス女性へのバッシングが激しくなっています。心無い誹謗中傷はひとり一台タブレットを持つ子どもたちにも容赦なく降り注ぎ、幼い当事者をも深く傷つけています。

通行中にじろじろと見られる、「心の性」という表現、両方の気持ちが分かるでしょうと言われる、そもそもトランスジェンダーの理解が浅い

6.その他

困難というべきかはわかりませんが、恋愛において自分の性自認をどう説明してどう受け止めて理解してもらうか、それとも黙っておくかということよく悩んでいて、なかなか恋愛に対して前向きになれないことです。

理解してもらったほうが楽な気がするけど、自分の意見の押しつけにならないか? 男装が趣味と嘘をついたほうが上手くいくんじゃないか? でも、女性として扱われてるのが垣間見えると気持ち悪くて嫌になる。 いくら考えても答えが出ず、相談できる場所も無い事で困っています。

どうしても地域差が表面化してしまうと感じます。大都市と比較して所詮、いちロ一カルな街ですから、自分の行動が口コミで拡散する可能性は大で(オマエ、何やってんの?)また世間体を気にする部分は恥ずかしながらあります。またまた脱線ですが、以前、私用で函館と小樽に行った時、周りに知ってる人もいなかったせいか素の自分で行動することができました。タクシ一の運転手さんやコンビニの店員さん、ホテルマンなど見かけでは判断しない、すごく親切でした。

レインボーパレードをお祭りだと当事者も世間も勘違いしていて毎年辟易している。抗議のデモから始まったものなのだから、もっと沢山裁判で勝つ等、遊び以外の側面を重視して欲しい
言葉にするのムズい

トイレやお風呂以外の課題にも注目してほしい

性別に違和のある当事者が困難な場面に遭遇したり不快な思いをする場面は、さまざまなケースがあります。

例えばスポーツの場面をはじめ、ヘアサロンや整体などの利用時、災害時の避難所など男女別で分けられる場面があります。
学生さんは進学に制約があったり制服選びが難しかったりします。
就転職では、世間の理解が進んでいるとはいえ採用は二の足を踏むところがまだまだ多く、当事者がなかなか仕事に就きにくい傾向があります。
保険やローンを組む時や賃貸住宅を借りる時にも、契約条件が悪かったりそもそも審査に通してもらえなかったりということもあります。

現在の日本の社会環境だと、性別に違和のある方々がシスジェンダー(性別に違和のない方)と同様の生活を送ることは難しいのが実情です。トイレやお風呂だけではないこれらの問題について、もっと注目をしていただけたらありがたいです。

Q9|日常生活で言われて残念に感じたこと

性別違和・不合に関して、日常生活で周囲の人に言われてモヤっとしたことがあれば教えて下さい。

フリー記述で答えていただきました。任意回答ですが大半の方々がご記入されました。ご回答いただいたみなさま、ご丁寧に記していただきありがとうございました。

いただいたアンケート全文

以下、みなさんからいただいたアンケートの回答を大きく4つの傾向に分けて紹介します。基本的には原文ママですが、個人が特定されそうな内容があっため、個人名や具体的な職業名についてなどは伏字もしくは割愛としました。

1.見た目や容姿について屈辱的なことを言われた

髪が長いから切りなさい

地域の町内会の役員から「すすきのの事件のようなことがあるのでトイレは男女で分けなくてはいけない。〇〇さんなんとかしてください。」
地域の飲食店にて全く知らない人から「俺分かった。おまえほんとは男だろ?」
演説中に知らない人から「声、かわいそうに」

生まれた性を想像できる(かわいい顔してるもんね、など)

名前変更してない時に伝票みられて え?女の子なの?って言われた時。

今でも十分男っぽいのにそれも嫌なの?

女の子なんだから云々…と育てられたこと。

2.望まない性別のジェンダーロール(性役割)を求められた

まだパス度が低いため、自然に肉体の性別で扱われてしまい、それがとても辛い。職場では当たり前のように配置を男女で色分けしてあり、肉体の性別で分けられそうになったことが負担で対応を申し出た。結局、どちらでもない色にはしてもらえたが、性別分けは健常者が認識してなくてもかなり浸透していて、たびたび負担を感じる。

スカートは履きにくいと言ったら、子供じゃないんだから、と言われた。
女性の声ではパワーや説得力が足りないと言われた。
男装時にジロジロ見られたあと「あぁ女か」と言われた

ノンバイナリーの男女どちらでもない、とらわれないという感覚が、理解されづらく間違った認識をされてしまうこと。 例えば女装・男装が趣味の女性・男性とおもわれたり それは、性違和がないって事じゃんと言われたり

3.行政サービスや企業応対で感じた不愉快なこと

行政書類などで「親族」「きょうだい」「子」などと性別の限定のない表現で書くと、担当者からおじおば、兄姉、長男長女など続柄の確認をされるため、しばしば不必要にカミングアウトをしている。書類に性別の記入を断ると、「いまは多様性の時代だし、個人的には性別欄必要ないと思います」と言われた。好意的に接してくれているのはわかるが、黙って不必要な性別欄を粛々と消してほしい。

「トイレどこですか」と聞いたら「誰でもトイレは上の階にあります」と言われた(某大企業でジェンダーの取り組みをしている部署の担当者の方なのに…)。
仕事取引先の会合に参加する際、「他の参加者が懸念示すかもしれないから、参加者全員に対する自己紹介時に、自身がトランスジェンダーであることと、会場のトイレは誰でもトイレを使う旨を必ず言うように」と言われた。
女性として過ごしているのに「女装さん」と言われたり女装にカテゴライズされたりするとモヤッとするし残念な気持ちになる。

4.日常生活の場で感じた性別分けの不都合さ

戸籍上女性です。メンズ服屋で買い物していると、「プレゼント用ですか」と言われてしまいます。どうみても見た目は女性なので、LGBTに理解があるかどうかわからない店員さんに「自分用です」なんて言う勇気なくて、泣く泣く店を去ります。

靴のサイズが無い。

5.その他

普段クローゼットで暮らしているので、直接的にはほぼありませんが、無知な人は信じやすい情報を基にバイアスを形成しているようで、女性の安全スペースを守る大義名分のもと性犯罪者の規制ではなく、トランス女性の排除を擁護する言説を平気で口にしてしまうことに世間の不勉強さを感じます。

本物じゃない(いくら性別適合手術を受けたとしても元々の生物学的な作りは変わらない)

あり過ぎて書けない

以前、テレビの全道版のニュースの中で性同一性障害の報道を職場で仕事しながらチラ見していた時、一緒の職員が聞くに耐えない【下品】な言葉を発し、カチンときて殴ってやろうと。(しませんが)脱線しますが、ビ一トルズの故ジョ一ジ・ハリスンがインドに傾倒の頃、マスコミに対して『世間の奴らは東洋をミステリアスと言うがそれは狭量的だ。そういう事を言う事自体、東洋を良く理解してない何よりの証拠だ』。これをlgbtqに置き換えるとスンナリします。『世間の人々はlgbtqを特別な人と言うがそれは狭量的だ。そういう事を言う事自体、lgbtqを良く理解していない何よりの証拠だ』。

Q10|どのようなサポートや制度・仕組みを望むのか

性別違和がある方々がより生活しやすくなるために、どんなサポート、どんな制度や仕組みがあればよいと思いますか?

いただいたアンケート全文

ここでは、さまざまな意見が寄せられました。多種多様な意見があるのですが、大まかに3つに分けて紹介します。

1.医療制度に関する見直し

性別移行にかかる医療費(ホルモン治療、SRS)の保険適用化。

性別肯定医療があまりにも利用しにくい。認定施設での完全な診断をとるまえにホルモン治療が開始できるはずなのに、検査や診察で何年も足踏みさせられ、仕事や私生活などとの両立が困難。

性別適合手術は全ての人対象で保険適用

混合診療という概念の廃止

2.世論やマスコミ報道、世間の理解度の向上

政治には頼れないので、ドラマやアニメなどでLGBTが当たり前に出てくるようになって欲しい。 民間から意識を変えていきたい。

道徳や保健体育での必修化。大人のリテラシー向上とトランスヘイトが社会的に許されないという世論の市民権化。

10人いれば10通りの性があることをもっと広く知ってほしい。
性別を限定しない呼び名が通常的に使われる世の中になってほしいと思います。
放っておいて
「そういう人も居るんだ」という理解は欲しいですが、過度になにか特別扱いをして欲しいとも思いません。「普通」を一番に望みます。
正しい理解が広がること
無理解な層が淘汰されて時代が追いつくこと
当事者以外の方々が性別違和などについて正しい知識と情報を知って学んでいただく機会を作るべき。 性別違和に限らない話だが、SNSの誹謗中傷やデマに対する開示請求をもっと簡素化・迅速化して厳罰化すべき。SNSとは限らず偏向報道を流すマスコミも。

周りからも受け入れてもらいやすいように幼稚園保育園からの教育

もっとLGBTを広める
3.社会制度やインフラの整備や改善
差別を禁止する法律や条例の制定
現実的ではないかもしれませんが、多目的トイレのように男女+α、誰でも使えるスペースがあると良いな~と思っています。

制服の問題

公衆トイレ、公衆浴場問題解決

婚活パーティー

自分はこうだ、と言いやすい場があること

この年代になると「老後」「お一人様」が頭をよぎります。希望はlgbtqに特化した介護施設ができればなぁと思います。 やはり、ハ一ドルは高いでしょうが、このような空間があるだけで、一視同仁な空気が味わえる、イイですねぇ。 以上、長文も含めて失礼しました。ありがとうございました。

 

さいごに

記事の最後までご覧いただいたみなさま、どうもありがとうございました。当事者・非当事者を問わず、アンケードにご協力をいただいたみなさま、ご丁寧に答えてくださりどうもありがとうございました。今回の結果を踏まえ、非当事者が当事者に対してより接しやすくなり、当事者がより暮らしやすくなればと願います。

性別違和などに関して調査研究をされている方など、今回のアンケート内容やこの記事での考察に関して、気にかかる点などがございましたら、問合せフォームよりご指摘をいただけますと幸いです。アップデートします。当事者をはじめとした世間に対し、少しでもお役に立つ情報を発信していきたいと考えています。

 

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