性別違和に対する非当事者の意識調査アンケート結果|2024年7月実施

お役立ち情報
この記事は約24分で読めます。

性別違和のない非当事者に対し、2024年7月に実施したアンケート調査の結果データを公開します。非当事者の方々は、トランスジェンダーなど性別違和のある当事者に対してどのような意識を持っているのか、性別変更や男女別スペースなど各種制度に対してどのような認識を持っているか。みなさまよりいただいたアンケートの回答結果をまとめました。

ここでの当事者は、トランスジェンダーやXジェンダー、ノンバイナリーなど生まれた身体の性別に違和や疑問があると感じる方を指します。性別違和のないレズビアンやゲイ、バイセクシャルなどの方などシスジェンダーの方は、ここでは非当事者としています

 

アンケートの目的と背景、概要

実施した目的と背景

生まれた時に割り当てられた性別に対し、疑問を感じている方が一定数います。疑問の感じかたは人それぞれです。

疑問を感じている当事者は何に悩んでいるのでしょう。何に困っているのでしょう。いっぽう、疑問を感じていない非当事者の方は、性別に違和がある当事者が置かれている状況をどの程度ご存知でしょうか。

実情を探るべく、当事者と非当事者に対してアンケートを実施しました。世の中に理解が広がり、当事者が少しでも生きやすい世の中になることを願い、アンケート結果を公開します。

この記事では、非当事者に対するアンケートを公開します。当事者に対するアンケートは以下記事でご確認ください。

性別違和に対する当事者の意識調査アンケート結果|2024年7月実施
性別違和のある当事者に対し、2024年7月に実施したアンケート調査の結果データを公開します。性別違和に対する認識や、性別変更や男女別スペースなど各種制度に対する見解など、トランスジェンダーやXジェンダー、ノンバイナリーの方々の回答結果をまとめました。

当事者の中にはこのアンケートを見て勇気が出る方もいれば、残念に感じる方もいると思われます。世の中には多種多様な人がいて考え方も千差万別なので、いい意見もあれば嫌な意見もあるはずです。

一つひとつの意見や言葉尻に一喜一憂するのではなく、より自分たちが生きやすく、暮らしやすくなるために現状を冷静に把握し、そのうえでどのように立ち振る舞い生活していくか、アクションをしていくかを意識するきっかけの一つと捉えていただけますと幸いです。

アンケート概要

実施時期

2024年7月

実施場所

チ・カ・ホDEプライド来場者
(2024年7月7日、札幌市)
はこだてトランス交流会参加者
(2024年7月14日、函館市)

実施方法

対面でのQRコード読み取り
希望者へのメール送付
※Googleフォームを利用

有効回答

32名

イタズラの回答や悪意による妨害の懸念より、母数はかなり減ると想定されるものの、あえてwebやSNSなどでの公開受付はせず、極力対面でGoogleフォームのリンクを伝えて匿名回答で調査しました。アンチ層の声がほぼないなど、多少バイアスがかかっていると推定されます。各種大規模な調査データと比較するとサンプル数も決して多くはありません。ご了承ください。

実施主体

アンケートの回答者属性

アンケートに回答いただいた方々のセクシャリティと年代についてお尋ねしました。

Q1|回答者(非当事者)のセクシャリティ

Q1.(可能なら)ご自身のセクシャリティを教えてください。

セクシャルマイノリティではないという方が2/3を占めています。各種データなどで全人口の10%前後がセクシャルマイノリティと言われている点と比較すると、ややLGBTQ当事者層が多い結果になりました

Q2|回答者(非当事者)の年代

Q2.(可能なら)ご自身の年代を教えてください

 

10代から60代まで比較的まんべんなくいらっしゃる結果になりました。

トランスジェンダーなどの定義や人口割合の認知調査

Q3|トランスジェンダーなど用語の意味や定義について

Q3.以下の意味を知っていますか?
トランスジェンダー、Xジェンダー、ノンバイナリー、インターセックス

トランスジェンダーに関しては初耳という方がおらず、言葉の意味の正確さは別として比較的認知が広まっていると思われる結果でした。

いっぽう、Xジェンダーノンバイナリーについては初耳という方が多少いらっしゃるなど、必ずしも認知が広まっているとは言えない結果でした。

インターセックス(DSD、性分化疾患)についてはさらに認知が広まっていないという結果でしたが、このアンケートの直後にパリ五輪での女子ボクシング選手に対する誹謗中傷の問題が起きたことから、今アンケートを取り直したら多少なりとも違った結果になっていたと推定されます。

おことわり
インターセックスの正式名称はDSD(Disorders of Development または Difference of development)で、日本語では性分化疾患と言います。DSDの方の中には性別違和のある方もいればない方もいます。そもそも、DSDはセクシャルマイノリティではないと考える方も多いうえ、インターセックスという言葉自体が差別的であるという声もあり、本来はDSD(性分化疾患)とするべきです。
このアンケートを実施した当時(パリ五輪の前)、DSDの方がいらっしゃるということ自体、世間にあまり知られていない印象であったため、あえてインターセックスという言葉を使ってトランスジェンダーなどと併記してアンケートとして実施しました。不快に感じられた方がいらっしゃるかと思われます。申し訳ございません。

トランスジェンダーとXジェンダーやノンバイナリーについて、当サイトの別の記事で簡単にまとめています。定義などを確認したい方は以下をご覧ください。

性別違和に対する当事者の意識調査アンケート結果|2024年7月実施
性別違和のある当事者に対し、2024年7月に実施したアンケート調査の結果データを公開します。性別違和に対する認識や、性別変更や男女別スペースなど各種制度に対する見解など、トランスジェンダーやXジェンダー、ノンバイナリーの方々の回答結果をまとめました。

さらに、トランスジェンダーに関する基礎的な情報や性別分けスペースについてなど、より深く正しい情報を学びたいという方は以下書籍がおすすめです。

Amazon|トランスジェンダーQ&A

楽天|トランスジェンダーQ&A

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

トランスジェンダーQ&A 素朴な疑問が浮かんだら [ 高井 ゆと里 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/9/12時点)

楽天で購入

 

 

Q4|女装や男装とトランスジェンダーの違いについて

Q4.女装/男装をする方がみなさんトランスジェンダーとは限りません。どのような違いがあるのか知っていますか?

図らずして概ね1/4ずつに分かれる結果になりました。理解はしているような気がするけど言語化するのはちょっと難しいという方が多いようです。

女装や男装をする方は、トランスジェンダーの方もいればトランスジェンダーではない方もいます。トランスジェンダー当事者の中には自分自身のことを女装や男装と言う方もいれば、女装や男装と言われると不快に感じる方もいます。なぜなら、女装や男装をする方にはさまざまな意図や目的、想いがあるからです。人それぞれ違い、多様な方々がいるということの理解が広まればと願います。

女装や男装とトランスジェンダーがイコールではないということについて、詳細が気に方は以下記事をご覧くださいませ。

記事完成次第、リンク挿入予定

Q5|性別違和がある当事者の人口割合

Q5.トランスジェンダーなど、出生時に割り当てられた性別とジェンダーアイデンティティーが異なる人は、人口のどれくらいいる思いますか?

おおよそ100人から200人に1人くらいの割合です。国内外のさまざまな調査データにより差異はありますが、全人口のうち概ね0.5%から1.5%程度がトランスジェンダーなど性別に違和のある方々です。

ちなみに、2023年に実施された電通ダイバーシティラボによる調査データでは、トランスジェンダーは1.15%、ノンバイナリーとXジェンダーは合わせて1.38%と、比較的高い数値結果でした。いっぽう、大阪市の調査(2019年)では0.7%、埼玉県の調査(2020年)では0.5%という結果だったようです。
単なる推測でしかありませんが、数年で比率が倍増している要因は、世の中の認知や理解が広まる中で、当事者自身の潜在的な認識の気づき自体が増えているのかもしれません。

参考までに、国内外の各種調査データによると、LGBTQの人口比率は概ね10%前後、10人~11人に1人くらいと言われています。

性別変更や男女別空間の法律や要件についての認知調査

性別変更と男女別空間の利用に関する法律面での要件や行政としての指針について、どのように認知・理解されているかを伺ってみました。

Q6|法律上の性別変更ができる特例法について

Q6.法律上の性別を変更するために、日本の法律で定められていることが5つあります。何か知っていますか?要件を5つあげてください。

質問補足
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(通称:特例法)」で定められている要件を5つ、以下の選択肢の中から選んでください。昨今の最高裁判決で一部死文化した内容も含め、現行(2024年時点)の法律の規定に沿って選定してください。
  1. ホルモン治療をしていること
  2. 変更を望む性別で一定期間、社会生活を送っていること
  3. 一親等(親もしくは子ども)の許諾を得ていること
  4. 生殖能力がないこと(=不妊手術を受けるなどしていること)
  5. 外性器の見た目が、変更を望む性別の外性器に似た形をしていること
  6. 18歳以上であること
  7. 今現在、結婚をしていないこと
  8. 未成年(18歳未満)の子どもがいないこと
  9. よく知らないのでわからない

正解は以下です(不正解は打ち消し線)。

  1. ホルモン治療をしていること
  2. 変更を望む性別で一定期間、社会生活を送っていること
  3. 一親等(親もしくは子ども)の許諾を得ていること
  4. 生殖能力がないこと(=不妊手術を受けるなどしていること)
  5. 外性器の見た目が、変更を望む性別の外性器に似た形をしていること
  6. 18歳以上であること
  7. 今現在、結婚をしていないこと
  8. 未成年(18歳未満)の子どもがいないこと
  9. よく知らないのでわからない

生殖要件と外観要件について

特例法は紆余曲折を経て2003年に制定されました。生殖能力を欠くことや外性器の形状を変えることについては、制定後長らくの間は手術を求めている規定とされてきたため、人権侵害という声が各所かたあがっていました。WHOからも人権侵害だと忠告もありました。

2023年秋に最高裁で、不妊手術を強要することは違憲という主旨の判決が出たため、「生殖能力がないこと」という要件については実質死文化しました。

2024年に同じく最高裁で、外性器の形状を変えるために手術を必須することは違憲の疑いがあるという判決が出ました。ただし、「外性器の見た目が、変更を望む性別の外性器に似た形をしていること」という要件については有効という判断をしています。無効とはしていません。

ざっくり平たく言うと、「男性から女性に性別を変更をするのであれば、手術をしていなくても身体が女性のような形状と推定されないとダメですよ(なぜなら、お風呂などで混乱を招くから)」という主旨の判決です。ホルモン治療をすれば多少は(ある程度は!?)性器の形状など身体が変化します。何がどの程度変化するかは…、個人差もあると思われますので、なんとも言えません。

少なくとも、誰でも手術なしで性別を変更できるようになったというわけではありません

結婚要件と子なし要件について

今現在結婚をしていないという規定については、日本で同性婚が制定されれば恐らくなくなる要件です。同性婚が認められていない2024年現在だと、夫婦のどちらかが性別変更すると同性婚状態になってしまうので、この規定があります。

海外にも法的に性別変更できる国は多々あるのですが、その際に「子どもがいたらダメ」という要件を設けているのは日本だけのようです。明治時代から昭和時代にかけての家族観が法律に反映されたのではないかと言われています。

いずれにしても、制定から20年以上経た2024年現在、法律の規定と実態や実情と乖離していることが表面化してきています。手術を強要することは違憲という最高裁での判決も出ているため、今後何かしらの制度変更が議論されていくものと思われます。

Q7|男女別に分かれた空間利用に関する厚労省の通達に関して

Q7.厚生労働省の通達や指針では、男女で性別分けされた空間ではどのような基準で分かれて利用すべきとされているか知っていますか?

質問補足
性別分けされた空間(トイレや公衆浴場、スポーツ競技など)の利用に関して議論が起きたり誤解が広まったりすることが多いのですが、厚生労働省の通達によると実際はどのように定められているか知っていますか?

公共のトイレ

各施設の事業者の判断・決定次第

望む性別で社会生活をしている(する)前提で、会社や学校は運営者や事業者との相談次第、駅や商業施設は現実的には服を着た状態の見た目次第というのが実情です。

もっとも、ジェンダーフリートイレが世の中に普及していればそちらを利用する当事者が多いと推定されるため、トイレ利用に関する議論や意見の相違は減るでしょう。当事者の声を聞くと、ジェンダーフリートイレ(現状ではあまり普及していないため、実情では身障者の方が主に利用するバリアフリートイレなど)を利用するという方が多いです(以下記事参照)

性別違和に対する当事者の意識調査アンケート結果|2024年7月実施
性別違和のある当事者に対し、2024年7月に実施したアンケート調査の結果データを公開します。性別違和に対する認識や、性別変更や男女別スペースなど各種制度に対する見解など、トランスジェンダーやXジェンダー、ノンバイナリーの方々の回答結果をまとめました。

戸籍別と定めたところで、世の中にあるトイレの津々浦々すべてでIDチェックなどできるわけではありません。身体的な特徴で分けたとしても、公衆浴場と違い公衆の面前で裸になるわけではないので、他人の身体的な特徴を目にすることはありませんし、誰も確認することができません。

公衆浴場

戸籍や性自認に関わらず、身体的な特徴次第

さまざまな判決や議論がありますが、「心が女と言えば女湯に入れる」という話はデマです。公衆浴場の男女分けは身体的特徴次第というルールについては従来どおりで、今後も変わりません。

厚生労働省が各都道府県などに出した通知で、「公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて」というものがあります。ここの一部を抜粋します。

ーー「おおむね7歳以上の男女を混浴させないこと」などと定めています。 これらの要領でいう男女とは、風紀の観点から混浴禁止を定めている趣旨から、身体的な特徴をもって判断するものであり、浴場業及び旅館業の営業者は、例えば、体は男性、心は女性の者が女湯に入らないようにする必要があるーー

お風呂に関しては、あくまで裸になった時の身体の形状次第なので、手術などで外性器の形状が変わっていない限り、「自認は女性」と言う男性が女性風呂に入ることはできません。この点は従来どおりで今後も同様です。

スポーツ競技

戸籍で分けつつも、現状は競技団体ごと

概ね戸籍の性別で分かれつつも、マラソンでノンバイナリー枠を設けるなど、競技団体ごとで定めているのが現状です。

スポーツ競技に関しては厚生労働省の通達などでの定めの話とは異質なのですが、トイレや風呂の問題とともに話題にあがることが多いため、ここの設問にあえて入れました。ご了承下さい。

犯罪の懸念とそもそも論

少々長くなりますが、見解を記します。

お風呂は身体の特徴次第ですが、トイレは事業者の判断次第で駅や商業施設では服を着ている状態での見た目や雰囲気次第と聞いて不安に感じた方もいらっしゃるかもしれません。犯罪の懸念です。

ここで、そもそもの原則論に立ち返ってみましょう。

みなさん、お風呂はなぜ利用するのですか?
なぜトイレを利用するのですか?

お風呂の利用目的は、身体を綺麗にしたりリラックスするためでしょう。
トイレの利用目的は、用を足したり、メイクや身だしなみを整えるためです。

性別に違和がある方も一緒です。犯罪を犯すために利用するのではありません。

とはいえ、男なのに「心は女」と言う”なりすまし”が入ってくるかもしれない、という懸念もあるでしょう。

率直に、仮に「異性の空間に入ってはいけない」と法律があったとしても、残念ながら性犯罪は起きると思います。なくなることはないでしょう。
例えば、「人の物を盗んではいけない」と法律があっても、窃盗や万引きは起きています。万引きをいかに減らすかということで防犯カメラをつけたり商品管理を徹底したり、何かしらの手立てをしているはずです。
いかに犯罪が起きないようにするかという「防犯」や「犯罪抑止」の観点です。

公共の場のトイレの場合、いかに犯罪が起きにくい施設構造にするかということと、性犯罪をもっと厳罰化すべきということではないでしょうか。

たとえば、男女のトイレの入口が奥まったところに並んであるようなところだと人目につかず異性のトイレに入りやすいでしょうから、人通りの多いところに男女の入り口をそれぞれ離して設置するとか、個室の上下の隙間を極力なくすとか、さまざまなことが考えられます。

また、日本は性犯罪への罰則が軽いと言われています。もっと厳罰化をすることで、抑止力を高めることができると思います。特に「心は女」と言えばトイレや風呂に入れると思いこんでいる”なりすまし”の人については悪質性が高いためより重罰にすべきではないでしょうか。

昨今、安全維持や女性スペースを守るという名目でトランスジェンダーを排除する、LGBTQを排除するという言説が昨今ネットで流れていますが、これらは誤りです。純粋に物事の背景や本質を理解していないか、単なる差別的な感情や宗教などの思想的影響を背景とした恐怖心や敵対心を煽り扇動するための情報と推定されます。
著名人や議員さんなどでもこのようなことをおっしゃる方がいますが、トランスジェンダーなど性別に違和がある方々がみな、犯罪者や犯罪予備軍ではありません。みなさんと同じく、身体を綺麗にしたりリラックスのためにお風呂へ入るのですし、用を足したりメイクなど身だしなみを整えるためにトイレに入ります。

万引きを防ぐために、性別とか年齢とか出身とか、ある属性の人をお断りするということはないです。トイレなどの利用についても一緒です。
もちろん、犯罪者は性別違和のある方の可能性はありますし、性別違和のない男性の可能性もありますし、性別違和のない女性が犯す可能性もあります。性別などある属性の人を排除するのではなく、いかに犯罪が起きない施設にするか、性犯罪をいかに厳罰化するかという議論が本来必要なことなのではないでしょうか。世の中のデマに惑わされないようにしてください。

身近な環境で当事者に接する場合の意識調査

非当事者が当事者と日常的に接点があるか、もしも近い人から当事者であることを打ち明けられた(カミングアウトされた)場合の受け止め方や率直な気持ちについて、リアルな声を伺ってみました。

Q8|当事者との接点有無について

ご自身の知人や親しい人で、トランスジェンダーなど、出生時に割り当てられた性別とジェンダーアイデンティティーが異なる人はいますか

  • 自分の知人にはいない
  • 知人でいる
  • 近親者(親・子ども・兄弟・パートナーなど)でいる

知人や近親者に性別違和の当事者がいると答えている方が3/4いらっしゃいます。意外と多いと感じられたでしょうか。ただ、1/4のみなさんはいないと答えられていますが、恐らく今まで気づかなかっただけで当事者は身近にいる(いた)と思われます。

性別に違和がある方の中には、自身のことをオープンにしている(カミングアウト)方もいますが、していない方も大勢います。人知れず自分が望む性別へ移行・変更し、生まれた時に割り当てられた性別とは異なる性別で社会に溶け込んでいる方も多数います。
むしろ、カミングアウトをしている方よりもカミングアウトをしていない方のほうが多いと推定されます(各種データより)。

当事者はいないのではありません。身近のどこかに必ずいます。言わない・言えない・言いようがないだけです。

もちろん、当事者自身がセクシャリティについて語っていないのであれば詮索する必要はありません。今までと変わらず、いつも通りの生活を送ればよいのですが、身近にいるかもしれないという意識は持つようにすることが大切かもしれません。

Q9|職場や学校でカミングアウトをされた場合

もしも職場や学校の仲間から、「自身は性別違和があり性別を変えて生活したい」と言われたら、どのように受け止めますか?

フリー記述で答えていただきました。任意回答ですが大半の方々がご記入されました。ご回答いただいたみなさま、ご丁寧に記していただきありがとうございました。

「受け止める」「尊重する」という意見が圧倒的に多いです。そのうえで、「何か手伝えることはないか」「困っていることはないか」など、当事者本人の希望や悩みに寄りそう対応をするという意見もあります。

以下、原文ママで全回答をご案内します。原文ママにて、句読点や口調の差異、表現の問題などあるかもしれませんが、ご了承ください。おおまかに意見の傾向を5つに分けてまとめました。

1.味方であり理解者であることを伝える

相談してくれたことへの感謝、私は味方であること・アウティングは決してしないことを約束する、自身の選択を重視すべきであることを伝える

そうだったんですね、教えてくれてありがとうございます。何かこうして欲しいなどの要望があったら教えてください。と伝えます

素直にそうなんだ、と受け止め、カムアウトしてくださった理由として、もししてほしいこと、してほしくないことなどがあるようであれば聞いておきたいということを伝える。

自分を信頼してカミングアウトしてくれたことに対して謝意を示した後,どのような形で自分が寄り添えるのか,仲間の希望を尊重しながら一緒に考えたいと伝える。

2.本人の意向や困りごとなどを確認する

理解したうえで方法等相談に乗る

応援したいのでまずはどう接してほしいか、いままでに嫌だけど言えなかったような場面はなかったかを話したいです。

本人が困っていて必要としていれば相談先を紹介する。(今日の出展団体など)

できる限り協力したい。性別を変えることで本人が肩身の狭い思いをしなくていいよう、本人とよく話をしていきたい。

受け入れた上で具体的にどんなことに困っているのか、自分が協力できることがあるのか話を聞けたらきいて、対処できることをする。

まずは「伝えてくれてありがとう」と言い、性別を変える方法を一緒に調べる。仲間や友達なのだから今までの関係とは何一つ変わることはない。

3.会社や学校など組織の中の兼ね合いを意識する

本人の意思を受け止めた上で、支える側に徹する。差別の矢面に立たせないよう、上司として策を講じる。

対応可能な範囲(スペース上の問題で更衣室の準備ができない等)を逸脱しなければ、その人が男性・女性である事は問題にならないと思う

その人が暮らしやすいように生活してほしい。できることがあれば協力したい。ただ、どこまでそのことを知らせてよいか、周りに働きかけていいのか、気になってしまう。

自己実現を応援したいと思うし、自分たちの所属している組織でその人がどうすれば過ごしやすくなるかを一緒に考えていきたいし、変えたいと思う所は一緒に変えていきたいと声を上げていきたい気持ちを伝える。

4.意向を受け止めるとともに、自分自身(非当事者)が理解したい

そのままを受け止めるのと同時に今までの接し方に失礼がなかったか振り返る

きちんと理解したい

5.尊重する、応援する

できる限りの協力をする

その人が幸せでいられるなら応援する

自分らしく生きられるなら有りだと思う

否定せずちゃんと受け入れる

聞いて、そうなんだと受け入れる

個人各々の受け止めを尊重します

別にいいと思う

自分の人生だから、自分の気持ちを第一に考えていいと思う。

自分らしく生きていけるように応援します。

すぐに変えたほうがいいと思う

そのまま、受け止めると思う。信頼して勇気を出して私に打ち明けてくれたのだろうし、なんというかマラソンの給水地みたいな立ち位置でありたい。

そのまま受け入れます。性別が変わろうともその子はその子で、なにも変わることはないから。応援したいです。

 

Q10|近親者にカミングアウトをされた場合

もしも近親者(親、子ども、兄弟、パートナーなど)から、「自身は性別違和があり性別を変えて生活したい」と言われたら、どのように受け止めますか?

Q9.と同様にフリー記述で答えていただきました。任意回答ですが大半の方々がご記入されました。ご回答いただいたみなさま、ご丁寧に記していただきありがとうございました。

「受け止める」「尊重する」という意見が多いものの、会社が学校の場とは少々異なり、社会制度や健康面での心配をする意見や慮る声、戸惑う心境などが散見されます。職場や学校の仲間と異なり家庭の身近な人であるため、より丁寧で慎重な受け止め方になるのだと思われます。
心配や戸惑いの声があるとはいえ、完全否定する意見はなく、受け止める前提でどうするか、どうすればよいか思い悩む、答えが見つからない、気持ちの整理がつかないという身内だからこその率直な感情が反映されていると推定される結果でした。

以下、原文ママで全回答をご案内します。原文ママにて、句読点や口調の差異、表現の問題などあるかもしれませんが、ご了承ください。おおまかに意見の傾向を5つに分けてまとめました。

1.味方であり理解者であることを伝える

相談してくれたことへの感謝、私は味方であること・アウティングは決してしないことを約束する、自身の選択を重視すべきであることを伝える

驚くかもしれないが、伝えてくれたことに感謝したい。性別違和があろうがなかろうが、味方であり関係性が変わらないことをまず本人に伝えたい。

自己実現を応援したいと思う。どうすれば過ごしやすくなるかを一緒に考えていきたいし、変えたいと思う所は一緒に変えていきたいと声を上げていきたい気持ちを伝える。これまで同様「家族であること」は何も変わらないと伝える

正直びっくりするとは思うが同じくそのまま受け止めたい。もういい歳でそこそこ独立して生活できているので好きなように生きてほしいというスタンス。ただ、ありのままで生きられなかったから今まで抱えてきたのであろうから、私の前ではありたいようにあってくださいと言う。

2.本人の意向や困りごとなどを確認する

応援したいので今後どのように段階を踏んでいくのか家族としてできることはなんなのか一緒に考えていきたいです。

理解したうえで方法等相談に乗る

本人が困っていて必要としていれば相談先を紹介する。(今日の出展団体など)

本人の意思を受け止めた上で、当事者コミュニティ、専門家の力を借りて、家族として願いを叶えたい

素直にそうなんだ、と受け止め、カムアウトしてくださった理由として、もししてほしいこと、してほしくないことなどがあるようであれば聞いておきたいということを伝える。

教えてくれてありがとう。何かお手伝いできることはありますか?と伝えます。

本人が望む形で受け入れて、困りごとがあれば協力する。(本人が望めば)

まずは「伝えてくれてありがとう」と言い、性別を変える方法を一緒に調べる。今までの関係とは何一つ変わることはない。家族であろうが、友達であろうがパートナーであろうが、その人の生きたい生き方を尊重する。

自分を信頼してカミングアウトしてくれたことに対して謝意を示した後,どのような形で自分が寄り添えるのか,近親者の希望を尊重しながら一緒に考えたいと伝える。

3.社会制度や健康面での懸念を払拭したい(心配事や懸念点など)

対応可能な範囲(スペース上の問題で更衣室の準備ができない等)を逸脱しなければ、その人が男性・女性である事は問題にならないと思う。しかし、社会的に扶養等の問題があり困難がある点など説明したり調べたりするように促す

性別を変える事自体に反対はしない。ただメリットだけではなくデメリットや新たに起こり得る問題が無いとは言えない事をどれくらい理解、考えているのかを確認する

4.戸惑いがある、自分自身(非当事者)が理解したい

わからない

体にメスをいれたり傷を付けてほしくない(ありのままでいて欲しい)と個人的には思う。

混乱して、時間をかけて受け入れる

初めは戸惑いはあると思うが本人の考えならば受け止めると思う

理解したい

5.尊重する、応援する

そのまま受け入れます。性別が変わろうともその子はその子であり、なにも変わることはない大事な愛しい子だから。その子の幸せを願うだけです。

受け止める

その人自身できめたのなら、止める権利もないので、普通に接する

実際に経験ありますが、本人が望んでいた事なので尊重しました。

否定せずちゃんと受け入れる。初めはビックリして動揺してしまうと思うが、自分らしく生活できるのであれば受け止めて認めてあげたい。性別関係なく人として尊重し、お互いのらしさを考えて行動したい。

別にいいと思う

自分の人生は、自分のもの。好きな様に生きていけるように応援します。

さいごに

記事の最後までご覧いただいたみなさま、どうもありがとうございました。当事者・非当事者を問わず、アンケードにご協力をいただいたみなさま、ご丁寧に答えてくださりどうもありがとうございました。今回の結果を踏まえ、非当事者が当事者に対してより接しやすくなり、当事者がより暮らしやすくなればと願います。

性別違和などに関して調査研究をされている方など、今回のアンケート内容やこの記事での考察に関して、気にかかる点などがございましたら、問合せフォームよりご指摘をいただけますと幸いです。アップデートします。当事者をはじめとした世間に対し、少しでもお役に立つ情報を発信していきたいと考えています。

 

タイトルとURLをコピーしました